
理容・美容業界に深く関わっている方なら、フィル・ジャーマンさんの名前はご存知でしょう。スコットランドの理容師教育コミュニティをけん引する彼は、今年のスコティッシュ・ヘア&ビューティー・アワード(SHABA)の夜のイベントに参加します。同イベントのメインスポンサーであり、美容とウェルネス業界を代表する予約プラットフォームである Freshaとともに出席する予定です。
ワクワクと期待に胸を膨らませながら、私たちは当日の夜に先立ちフィルさんに話をうかがいました。スコットランドの理容業界について語り合い、テクノロジーから理容の進化するアプローチに至るまで、業界のトレンド、課題、そして顕著な変化について探りました。

Q:スコットランドの理容業界がこれほどユニークなのはなぜですか?
フィル・ジャーマン:スコットランドには、非常に強い地域アイデンティティがあります。グラスゴー、ダンディー、アバディーンなどの都市は非常にスタイルを重視しており、人々はそのことを誇りに思っています。
トレンドという点では、スコットランドは常に最先端を走ってきました。今からおよそ40年前のことですが、あるデモンストレーションに行ったのを覚えています。その場で理容師が髪をすべて前方にとかし、まっすぐな前髪を切っていました。私は「なんて変わったことだ」と思ったのですが、それが「フレンチクロップ」となり、その始まりはスコットランドでした。スコットランドの理容師たちは、常に時代の流れを敏感に察知してきました。今もその姿勢は変わりません。
SHABAのようなイベントに行くと、それがよくわかります。これは英国で最大の業界アワードです。雰囲気がとても盛り上がっています。
Q:北部で特に流行している髪型はありますか?
P:はい、いくつかあります。フレンチクロップは今も健在で、特に学生やラグビーの若者たちの間でマレットが人気です。同時に、非常にきれいに仕上げられたフェードも見られます。これらは、私がこれまで見た中でも最高クラスのものです。
Q:ここ数年で、男性のグルーミングや理容はどのように変わってきましたか?
P:トレンドは常に変化しますが、基本は変わりません。最新のスタイルを提供できるようになるには、まずレイヤリング、シェイピング、レザーカットなどの基本を習得する必要があります。
変わったのは、この技術が注目されるようになったことです。SNSのおかげで、理容の技術が世界的な舞台に登場するようになりました。Instagramは、うまく活用すれば、学びを得たり、刺激を受けたり、人脈を広げたりするのに優れたツールになります。問題となるのは、理容師が椅子に座っている顧客よりも、コンテンツの撮影に注力してしまうことです。顧客維持は常に最優先です。
Q:現在、理容師やサロンオーナーにとって最大の課題は何だと思いますか?
P:理髪店はたくさんありますが、それがチャンスにもなり得ます。真の課題は、人材の定着です。あなたの実力はチームの実力で決まります。理容師1人が基準に達していなければ、新規顧客はそのことでお店全体を評価してしまいます。業界は急速に変化しています。今や理容店が多すぎる、と文句を言うのは簡単ですが、私はそれをむしろ良いことだと捉えています。競争が激しくなると、誰もが向上を求められます。
また、研修に投資し、高い水準を維持し、スタッフが大切にされていると感じられるようにすることも重要です。多くの人が自分のサロンを開きたいと考えていますが、それは素晴らしいことです。しかし、見た目ほど簡単ではありません。優秀な人材を維持することは極めて重要です。
Q:では、チャンスについてはどうでしょうか?理容師はどのようなことに力を注ぐべきでしょうか?
P:まず、強いチーム文化を築くことです。顧客は、店に入った瞬間にその活気を感じることができます。私が働いてきた中で最高の職場は、スタッフ同士が本当に仲が良く、一緒に飲みに行ったり、試合を観戦したりするようなところでした。お互いにべったりする必要はありませんが、家族のような雰囲気をつくることで、それが顧客の体験にもしっかりと伝わります。
次に、小売販売についてです。顧客は商品を必要としています。プロ仕様の商品とアドバイスを提供できるのに、なぜ顧客をスーパーマーケットに送り出すのでしょうか?これは価値と収益を増やす簡単な方法ですが、多くの理容師が見過ごしています。
そして最後に、店舗の事業計画についてです。SWOT分析を行ったり、さらにビジネスコーチと連携したりすることで、さらなる飛躍が期待できます。まるでキャリアのためのパーソナルトレーナーがいるようなものです。たとえ大成功を収めていても、目標がどんどん大きくなるにつれて、それを達成するために誰かのサポートは必要です。
Q:理容業に対する人々の向き合い方に変化は見られますか?また、その変化の背景には何があるとお考えですか?
P:はい、新型コロナウイルスの流行以降、大きな変化がありました。最近は、予約なしで来店するのではなく、予約を入れてくれる顧客が増えていて、とてもありがたいことです。また、大手の理容店を離れて、一人でスタジオを開業する理容師が増えていることにも気づきました。賃料の上昇と競争の激化が進む中、自分だけのスタジオを持つことで、間接費を抑え、経営を完全にコントロールでき、顧客と強固で個人的な関係を築く機会が得られます。私もかつては忙しいサロンで働いていて、イングランドで最も混雑するサロン2店舗を経営していました。しかし今は、自分のスタジオを持つことでより良いバランスが取れ、優れた顧客体験の提供に集中できるようになりました。
Q:伝統的なカットや技術への愛を大切にされている中で、テクノロジーがスコットランドの理容室やサロンの運営を変えた主な点はどのようなことでしょうか?
P:一番大きな変化は、予約ソフトウェアです。新型コロナウイルスの流行以降、予約なしで来店するのではなく、オンラインで予約することを望む顧客が増えています。おかげで、業務が大幅に効率化されました。サロンオーナーにとって、これは無断キャンセルの減少と、店舗の業績をより明確に把握できることを意味します。
SNSもまた、非常に大きな要素です。これは素晴らしいマーケティングツールですが、一方で気が散る原因にもなり得ます。大切なのは、バランスを見つけて、それを活用して自分の作品を紹介し、ファンを増やすことです。ただし、サロンでの顧客体験を犠牲にしてはいけません。
Q:スコットランドの若手の有望な人材に、最も顕著なスキル不足は何だと思いますか?
P:結局のところ、基本に立ち返るということだと思います。若い理容師の中には、Instagram向けのフェードや派手なテクニックにばかり気を取られて、形や構造、そしてクラシックなカットの基本を軽視してしまう人もいます。その基礎がなければ、トレンドに合わせて進化することはできません。
もう1つの課題は、ビジネススキル、つまり顧客層を築き、財務を管理し、商品を販売し、スタッフを維持する方法を知ることです。技術的なスキルは仕事の片面にすぎません。もう片面は、店舗をうまく運営することです。
Q:これからキャリアをスタートする若者に対して、どのようなアドバイスをされますか?
P:お客さまにどのような気持ちになってもらうかに焦点を当ててください。大切なのは髪型だけではありません。会話、エネルギー、そしてつながりなのです。髪を切るならどこでもいいという顧客でも、あなたがファンに変えてしまえば、一生ついてきてくれます。私はいつもサッカーを例に挙げます。ファンは、自分のクラブが負けたからといって、すぐにチームを変えたりはしません。顧客についても同じことです。ロンドンから何時間もかけて来てくれる人もいますが、それは単に私に会うためです。彼らはもう単なる顧客ではなくなっているからです。
もうひとつアドバイスがあります。自分のペースで進めましょう。忙しくなっても、休憩を飛ばしたり、燃え尽きるまで無理をしたりしないでください。成功は持続可能なものでなければなりません。
最後に、常に名刺を持ち歩くか、Instagramの情報をすぐに共有できるようにしておきましょう。新規顧客との出会いは、スーパーマーケットでも、夜の外出先でも、見知らぬ人と話しているときでも、どこででも起こり得ます。誰にでも、理容師を必要としている男性の知り合いがいます。ですから、親しみやすく、誠実な態度で接し、ご自分の仕事について周囲に伝えていきましょう。そうやって顧客層を広げていくのです。
SHABAの開催が近づく中、フィル・ジャーマン氏のインサイトは、このアワードがまさに何を目的としているのかを明確に示しています。それは、スコットランドの理容業界における才能、伝統、そしてイノベーションを称えることです。リードスポンサーを務めるFreshaは、よりスマートな予約テクノロジーで理容師やサロンをサポートしています。この夜のイベントでは、この業界をこれほどユニークなものにしている創造性とコミュニティにスポットライトが当てられます。
